norika_blue

1999年生まれ

On reading

 


リディア・デイヴィス「話の終わり」、Sally Rooney「Conversation with Friends」と、自分が好きな文体の本を読んでいると、自分の中に新たな言葉の蛇口が生まれる。生まれるというより詰まっていた蛇口が流れるようになった感じ。自分から言葉が出て、話せるようになり、身体の筋肉がほぐれて軽くなった気分になる。世界に対して、毎日に対して、自分の立ち位置が変わる。

言葉を通して自由になる。他人の言葉によって自分の言葉が生まれ、自分が自由になる。もちろんその逆も起こる。そんな時、そこから自由にしてくれるのも別の言葉である。

 


個人的に、よく聞く「ある言葉によって救われる」という表現よりも、「ある言葉によってそれまで捉われていた別の言葉から自由になる」というのが正しい気がする。常に私たちは言葉のある世界を生きているんだから。

 


「自分ばかり見つめようとしても自分は見えてこない」は格言だと思う。本を読んだり映画を観たりした後の感想は、その本や映画がどうこうというのではなく、「その本や映画に対してその感想を持っている自分」を何より知ることができる。

 


千葉雅也さんの「人は読書によって幸福になると同時に不幸になる」という題のnoteを読んで、読書や言葉に対しての愛というか、言葉という存在と読書という行為の面白さをしみじみと感じた。暑すぎる中涼しすぎる(ちょうどいい)山手線車内で、ふいに200円で購入したこの記事は、私の読書観をさらに厚く、そしてこれからも私の人生に欠かせないだろう読書という行為を更に豊かにさせた。引用したいのだが有料記事なのでどこまで載せていいか分からないので、引用しないでおく。

 


はじめに戻ると、とにかくリディア・デイヴィスが大好きになった。さっきもシンクでお皿を洗いながら、リディア・デイヴィスの「話の終わり」の最後のパッセージをふと思い出しては、読み終わったのは数日前なのにも関わらず、その中々味わったことのない読後感に浸っていた。なんという作家なんだろう。リディアの他作も読みたいのだけど、今「家にある本を読み終わらないまで次を買わない」を今度こそ自分に課していて、また毎月の本代により (そしてその他の色々な癖により) 破産寸前もしくは破産しているので、少なくとも来月までは待とうと思っている。

 


今、テレビでテイラースウィフトのNPR Tiny Desk を流しながら、これを書いている。これから、「話の終わり」の残りのQuotes and musings を書こうと思う。

Happy Wednesday everyone.