norika_blue

1999年生まれ

永遠の映画 ‘21 【2】

※ All the pictures belong to their rightful owners.

 

⑧エターナルズ

監督 : クロエ・ジャオ


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2022年はウエストサイドストーリーを映画館でありえない数観たのだが、2021年映画館で一番観た映画はエターナルズだ (とはいえ、こちらはまだ 3.4回)

 


これは傑作だと思う。クロエ・ジャオを監督に起用したのはある意味冒険的だけど、ぴったりチョイス。私はそれまでのマーベルを全く観てこなかったので、繋がりとかは分からないが、、、

 


映画館の大きなスクリーンでこの壮大な物語と地球の驚異的な美しさをどっぷり浴びることができたのはあまりにも素晴らしい体験だった。

 


さらに感動的なのは、クロエジャオのインタビューで、はじめにマーベルに持ちかけたのが、William Blakeの詩だったというところ。

(冒頭だけ引用。訳は、壺齋散人氏

https://blake.hix05.com/Sketch/404.auguries.html )

 

 

Auguries of Innocence

 

To see a World in a Grain of Sand

And a Heaven in a Wild Flower

Hold Infinity in the palm of your hand

And Eternity in an hour

 

無垢の予兆


一粒の砂の中に世界を見、

一輪の花に天国を見るには

手のひらで無限を握り

一瞬のうちに永遠をつかめ



映画の中には、私がじっくり考えたい哲学課題が多すぎて、2回目の後ではまだ頭が混乱していた。一旦考えて、3回目は臨んだ。人間の誕生、愛、捕食動物としての人間、覚えていてほしい↔︎忘れても魂はそのままよ、造られた身だろうが生まれた身だろうが家族を愛していて、それは変わらない。

 

ユーモアのタイミングが絶妙で、その直前までの濃い時間を潰すことなく、ふっと次のシークエンスにもっていくところがまた、この映画のすごいところ。

 

 

 

⑨ビーチバム

監督 : ハーモニー・コリン

 

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Happiness と fun へのコミットメントがすごい。他の方のレビューで、「ずっとハイのままバカをやっているだけなのだが、それが人はなんのために生きるのかという実存の話まで消化されてるからバカも侮れない。」というものがあったけど、まさに。究極の楽観主義で全てをエンジョイしている様子は、輝いている。そもそも、お金かけてこういう映画をつくろうと思った製作陣に拍手。

 



⑩ぼくのエリ

監督 : トーマス・アルフレッドソン

 

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完全に個人的な感想で申し訳ないのだが (いつも個人的な感想なのだが)

あまり感じたくないタイプの切なさ、だからこの映画は好きというか、忘れられないのである。

 

子供の頃に感じた切なさは、その時まだそれを「切なさ」とは認識できず、ざっくりいえば悲しい気持ちとしかいえなかっただろう。だけどそこには、「寂しさ」ががっつり刻まれている。子供の頃に感じた、その「寂しさ」の「切なさ」は、とにかくもどかしく、痛みを伴い、何かを”渇望”しているという何か分からない欲の交じった、私にとってなんとも不思議な感情だったのである。

 

その切なさがこの映画にはあり、観てて苦しくなるのだが、だからこそ中々忘れられない。

 



⑪ロブスター

監督 : ヨルゴス・ランティモス 

 

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音楽をそれぞれのデバイスから、同時に再生ボタン押して聴こう、というところから。


「 (イヤホンをシェアして) 一緒に聴けばいいじゃない?」

「(いや、)完全にシンクロナイズすることが大切なんだ」

 

ロマンチックすぎる。個々でありながら、個々が溶ける瞬間。イヤホンシェアじゃダメなんだ。それぞれのデバイスをシンクロナイズさせる、というところが重要なんだ。

 

というところは置いておいて、、、

 

1人で生きるか?誰かと生きるか?ということに関して、共通点を持つことに関して、「1人で足りる」or「誰かと/その人と いないとダメ」ということに関して、それが社会的なプレッシャーなのか、自分の欲望なのかということに関して、ここまでシニカルに、コミカルに描いている映画は中々ない。このコミカルさがあるからこそ、この切実なテーマに関して色々と考えることが多い…

 

 

 

パリ20区、僕たちのクラス

監督 : ローラン・カンテ

 

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「問題のある生徒たちと、先生」というと、よくある題材に思えるが、こちらがいくら真摯に向き合おうとしても、ありとあらゆる言動と行動で一向に見下す態度をとってくる生徒たちに、観ているこちらが耐えられなくなってくる。どんな方法を試しても、”対話” が不可能。だからといって、教えることを放棄することはできない。

 

それでも、生徒と対話しよう、という気持ちが根本にあり、常に忍耐強く向き合う先生に、尊敬の念が募る。

 



渚のシンドバッド

監督 : 橋口亮輔

 

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脚本が素晴らしい。

浜崎あゆみも素晴らしい。

もっと彼女が若い頃の演技を観たかった。

 

最も好きな邦画TOP 5 に入る。


「伊藤くん、あんた治った?」からの音楽。


「私さ、温もりとか信じないんだよね」