norika_blue

1999年生まれ

ep.1 服と自分

好きなものについて書くシリーズ。1回目は服。コレクション時の好きなルックの写真をところどころに載せながら書いていこうと思う。


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( Jacquemus spring '20 menswear) 


服について書くのは難しい。

 

私は、あー服好き好き最高🤩となるときもあるし、選ぶのが面倒になることもある。同じ服を余裕で何日も着ることも全然あるし、2日連続で同じ服着ると(会う人が同じか違うかは関係なしに)つまらない気分になってすぐ着替えることもある。

ちょっと服を(自分の気分的に)間違えたなと思うと一刻も早く家に帰りたくなることもあるし、服に意識が全く向かないときもある。

 


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(Mame Kurogouchi spring '20 ready to wear)


 後述するけど、服はその人の好みやイメージを反映させた超個人的なものでありながらも、視覚的なものである故に常に周り(他者)との接触をもつものである。

 

また服の好みはルッキズムと混同されたり(ルッキズムを強化するものだという意見もあって、そういうときもあるかもしれないけどわたしはその逆の可能性も大きいと思っている)、その人がジャッジされる対象になったりすることも時にある。

「オシャレ」「ダサい」という超主観的なのに社会的にも利用される概念で、優劣をつけられることもあるし、自分と他人の差異化を図るため/自分のアイデンティティの一部を確立するために使われるものでもある。(でも、服が好きになればなるほど、服で人をジャッジすることがどれだけおかしなことか、と思う。)

 

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(Nina Ricci spring '20 ready to wear)


服と身体と自己は全く違うものでありながらも、服が身体にまとうものだからこそ、そして身体と自己の関係は人によって異なるからこそ、その3つの混同が簡単に起こりやすい。(わたしは、「服はその人が "選択"したものだからこそ、"その人が何部に入ることを決めたか"と同じレベルで自己の一部(何でもいい、という選択も含めて)」「身体は自己とは異なるしその人を定義するものではないが、他の誰のものでもないその人だけのもの」という認識)

 

服を選ぶことが面倒になることすらある私が、服についての好きを書いていいのかな……と正直思ったりもした。知識があるわけでも全くないし。

(でもこうやって私が自衛的になることがまた、「知識でも"好き度(wtf)"でも、一定の条件を満たさないと話しにくい」っていう考えを小さい力ながらに強化してしまっているよね...sorry)

 


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(Rick Owens fall '20 menswear) 

 

でも、あー服ラブ最高🤩❤️と思うときがあるというのは本当なので、それにやっぱり知識の有無は関係ないか、とも思うので、わたしが思うことをそのままのらりくらり書いていきたいと思う。

 

ーー


初めにも少し書いたけれど、人に着られた服は、ある意味とても個人的なものである。なぜならそれはその人の個人的な好み/感性/気分/テンション/生活様式/その日の行動予定などによって選ばれ&組み合わさられたものであるから (なんでもいい、というものも含めて)。一方で繰り返すようだけど、服が視覚的なものであるゆえに/その好みや感性や気分が「他者がみえるかたちで」表出されているという意味で、服は周りとの接触をもったものでもある。

 

(「表出」であって、これはダイレクトな「伝達」ではない。その人の意図が(それか意図を介入させないという選択)が、そのまま他人に伝わるわけではないし、当たり前だけど好みやイメージは幅広くて曖昧だから、服が何かを一個人から別の個人へと直接的に何かを話すわけではない。)

 

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(Louis Vuitton fall '20 menswear)

服はとても面白い。

 

例えば私は「今日はエッジーでダークな気分だな」と思えば、自分の中で「エッジーでダーク」な服を着る。

「ダサくてやぼったいbaggyな中学生の気分だな」と思えば自分にとってそれに当てはまる服の組み合わせを着る。「風で動く+今日行く周りの景色と馴染むような服が着たいな」と思うときもあれば、「ガッチガチで服だけどっか違う場所から持ってきちゃったみたいな、エクストラな服が着たいな」と思うときもある。

 

大抵の場合、その日に行く場所に対して持つイメージ(それが自分の中でその場所に"馴染む"服であるときもあるし、逆にその場所に馴染まない服を着たいと思うときもある)、もしくはその日の音楽の気分に合わせた服を着ることが多い。(Luiz BonfáのときとNasのときとCavetownを聴く気分のときではそれぞれ着たい服が全然違くなるのはもう瞭然)


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(Anrealage spring '20 ready to wear)

 

面白いなと思うのは、何が"エクストラ"で"エッジー"で"やぼったい"のか、そういうイメージは時と、そのときの自分と、周りとの関係性と共にどんどん変わっていくということだ。

3年前に「エッジーだ」と思って着ていたものが今はめっちゃコンサバに思えたり(ある意味当たり前か)、1週間前は「ダサくて着たくない」と思っていたものが今は「『洗練』のアイディアに反抗してたい気分だから着たい(つまり、ダサいから着たい)」となってたりする。時と周りとともに自分の感覚やイメージは変わっていく。それが面白い。服って、ある意味すごく自由。



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(Mame Kurogouchi Tokyo fall '18 ) 

 

一方で、「気分がない」と思うときもある。そういうときはとりあえず今までに着たことのある組み合わせの服を5秒で選んで着る。そうすると、一定の気分がつくられる。これは、服に自分の内面世界を反映することができるだけじゃなくて、服によって自分の気分や行動パターンを形取ることもできるということである。試験の日、プレゼンの日、悲しい日、緊張している日、服によってパワーをもらったことは今までに何度もある。


すごいわ、服って。



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めちゃくちゃ長くなったけど、ここまでは前置き。でも本題にいく前に、もうひとつ書きたいことがある。

 

それは、ファストファッションについて。消費者としての私たちの選択がいろんなものに対して問われる中で、毎日着る「服」もそのうちのひとつ。

 

私がファストファッションについて初めて意識を向けるようになったのは、なつきが教えてくれたUlalaさん (Instagram : ulalagirl)がきっかけ。それから、サステイナビリティに関する授業でファストファッションの裏側についてもっと知ったり、YouTubeポッドキャストでもその話題を聞くようになったりして、自分の消費の仕方について考えるようになった。

 

それからというものの、新しく買う服はほとんど古着か、誰がどこでどのようにつくっているかがはっきり開示されているもの。結果的に現在はほぼ古着屋で買っている。(それに古着屋さんに行くこと自体楽しい)

 

目を向けなくてはいけない点は、ファストファッションだけではない。

 

(モデルを含み)ルッキズムの強化問題、文化の盗用問題、"多様性"の商業利用問題、西洋目線で語られる美しさ問題(従来の西洋的な美しさという意味ではなく、「西洋目線の他地域の美」という意味)など、ファッションインダストリーに限らないことだけどファッションインダストリーにも存在している課題、私たちが消費者としても考えなくてはいけない課題があるということを、忘れないようにしたい。服は最高。でも、他のものと同じように問題は存在するし、それに対して個人が日常の中でできることは全然ある。

 

ーーーー

 

本題


今回は、私が普段見たり聞いたりしている服に関するYouTubeポッドキャストやメディア全般について書きたい。どれも大好きなものばかり😍

 

1. AFFECTUS ( 新井茂晃さん)

 

Twitter : mistertailor

Instagram : affectusdesign


AFEECTUSがなかったらこんなに服に意識を向けることもなかったと思う。新井さんの書く文がそもそもめっちゃ好きだし、なによりも服に対する見方が変わる。AFFECTUSはメンバーになって毎回じっくり読んでいるけど、ツイッターとインスタを読むだけでも、本当に面白い。

 

2. Bliss Foster

 

YouTube: https://www.youtube.com/user/BlissMFoster

Twitter : BlissFoster

Instagram: blissfoster

 

https://youtu.be/sMzRnCaNe0c

↑マルジェラ パート1

 

彼のマルジェラシリーズを観て、マルジェラに夢中にならずにはいられない。私が特に好きなのは、マルジェラシリーズのパート3!服やコレクションに対する概念が変わる。

 

「(マルジェラは) Bringing fashion to everyone しただけではなくFinding fashion in everyone (パート3より)」「my clothes appeal to women of a certain mindset, rather than of a specific age or a physique (パート6より。マルジェラのインタビューの言葉)」

 

服に少しでも興味ある人はぜひみてみてほしい。Raf Simons についてのビデオも、すごく面白かった。観ればみるほど服が好きに&興味が湧いてくる。

 

3. ファッションの社会学 ジョアン・フィンケルシュタイン (本)

 

AFFECTUS を知ったときくらいに、大学の図書館で借りて読んだ本。(似ている題名の別の本がいくつかあって混乱しやすいので注意)


面白すぎて(でも図書館で借りた本だから線引けなくて)、ケータイにメモった文がたくさんありすぎるので、そのうちいくつかを載せたい。

 

・ファッションなど人間の外見だけの問題という一般的偏見はそろそろ捨てなければならない。ルネ・ケーニッヒ (p.66)

・ファッションという権力は、さまざまなレベルで公私にわたる人々の思考や行動を支配しているのだ。(p.17)

・服装は記号体系ではないにせよ、着る人のアイデンティティを伝えるコミュニケーションの方法である。現代の都市生活者は画一性への社会的要請と、個性を求める内的欲望との葛藤のバランスをとることができるという。(p.53)

アメリカでラルフ・ローレンのイメージに人気があるのは、新しい豊かさを懐古的に演出する戦略の勝利だろう。(p.56)

 

いやこれ書き出していたらめちゃくちゃ長くなってしまうな、、、、映画での衣装と登場人物の関係などについても言及していて、とにかく本当に読むのをやめられなかった。

 

4. パリコレ学 (テレビ番組)

 

選ばれた約8人のモデルたち(学院生と呼ばれている)が、パリコレに行くためのアンミカさんの推薦を勝ちとる番組(アンミカさんの推薦を得たところで実際のショーに出れる保証はないが、推薦を得れるのはたった1人だけ)。モデルについて、コレクションについて、新しく知ることが沢山あって毎回目から鱗だった。これをみてから、コレクションのショーをみるのにハマった。歩き方によって、確かに服のみえかたが全然違うから。

 

シーズン1で、推薦を得たモデルさん(ネタバレになるから一応名前は伏せる)にアンミカさんが言った言葉。


「モデルは自分を見せながら服を理解して見せる。◯◯さんは服ごとにテンションを変えてくる、『憑依体質』がある。これはモデルにとって一番大切なこと。」(※一字一句同じではないが、意味としてはこんな感じ。)

 

服がもつ特定のエナジーを感知して、それを纏って自分と同化させて歩くって、すごいわぁ。。。

 

5. Fashion no filter (ポッドキャスト)

 

Camille Charriere (Instagram: camillecharriere)と、Monica Ainley (monicaainletdlv) によるポッドキャスト。スタイリストや雑誌の編集長など幅広い人がゲストに来ている。Jenny Walton の回が好き。


6. Loïc Prigent (YouTube)

 

https://www.youtube.com/channel/UCU5Z-qPL8Terv_te68esHOw

 

Instagram : loicprigent

コレクションの舞台裏を撮っていて、デザイナーやモデルとの会話も面白い。特に好きなのはJacquemus fall 2019 と、Chanel resort 2020 の動画(下にリンクを貼った2つ)

 

https://youtu.be/y2cGgjXSZ6g

https://youtu.be/b8QhMvH1zxw

 

6. ディオールと私 (映画)

 

ファッションに関するドキュメンタリーはたくさんあるけれど、みた中ではこれが一番好き。ラフ・シモンズを知るきっかけになったのがこの映画。

 

7. Vogue Runway (アプリ)

 

解説もみれるし、ルックを高画質でみれる。ブックマークもできる、最高の場所。

 

2020年2月