norika_blue

1999年生まれ

シアトル プロローグ

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冬の夕方のキャンパス

(Today’s music : Magnetized / Tom Odell)

 

 

シアトル… 半ば逃げるようにして日本を飛び出したところから始まった留学生活。2018年度(大学1年)は、色んな変化が起こった年だった。シアトルのことを書くなら、まず行く前のそこから書きたいんだけど、長くなりすぎるから今度また書く。ただ、空港についたとき、そして出発するときに感じたものは、高校のときに同じく1年間の留学のために飛行機に乗ったときとは全く違うものだったし、あの「覚悟と恐れが交った希望」という奇妙な感情を経験したのは初めてだった。

 

 

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初めての寮生活、初めてのルームメイト、アメリカでのはじめての大学生活。そこで感じたこと、話したこと、聞いたこと、見たこと。人と出会うこと、時間を忘れて笑うこと、共に同じ時間を過ごすこと。全てが目まぐるしく濃く、どこか淡かった。シアトルでの7ヶ月間が、時々ありえないくらい恋しくなる。長く住みたいのは東京、それは変わらない。それでも、行く場所行く場所で自分のアイデンティティの一部が形づくられ、記憶が生まれ、出会いとその人々と共に過ごした日々がある。帰国して身体は日本にあっても、いつもどこかは遠く寒いその地を想っている、それは時に耐えがたいけど、同時にとても幸福なことだと思う。

 

 

プロローグ。シアトルのことを書くとき、どこから書こう。

 

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まず、シアトルの雨。ほとんど雨か曇りで、晴れの日の方がめずらしい。特に秋冬は絶対に鬱々とするだろうと思っていたけど、思ったよりは平気だった。自分でも驚くけどむしろ今は恋しくさえ思う。でも感情が鋭敏にはなった。今まで感じたことのない感情をたくさん感じたし、身体を通して感じえる感覚(つまり知覚?)の細かさに、自分の生をより強く意識するようなことが多くなった。天気だけではないのは確かだけど、あのさめざめとした雨には、晴れのときには陽のエネルギーでかき消されてしまうようなうっすらとした感情の動きをひとつひとつ浮き彫りにしてくるようなパワーがあると思う。その感情は必ずしも明るいものではなかったけれど、そうやって層になっているもののを認知するということは、それが例え痛みだったとしても私に必要なことであったように思える。

 

 

緑が多くて、道端やキャンパスに溢れる、雨にぬれた木や葉っぱの湿った匂い、今でも思い出せる。冷たい風の中、特に秋は地面に落ちた葉っぱを踏みながら毎朝授業に行ったこと (quotes, musings ⑥ の写真のように) 。授業帰りには木々を通り抜けて、ひとりでも友達とでもカフェで宿題をしたこと。そして夜さらに寒くなった中を身を寄せて寮まで歩いたこと。シアトルには小さなカフェが本当にたくさんあるから、多くの思い出がカフェと共にある。明るいうちにカフェに入り、コートを脱ぎ、ラテを飲みながら課題や会話に耽っているうちに外が暗くなり、またコートを羽織って外気に触れる、そのなんでもない愛おしい日々の放課後。帰ればルームメイトがいて、(私の方が早く帰宅するときと半々くらいだけど)、電子レンジであっためたお湯で(それしか方法がない)お茶をつくって、その日にあったことをお互い話す。金曜日とか週末は全く違う放課後になるし、平日でもバイトがある日は違うスケジュールになるし、カフェじゃなくて図書館に行ったりすることも結構あったけど、この平日の放課後のことをまず記したかった。

 


授業のこととか、シアトルの街並みのこととか、古着屋さんのこととか、公園や湖のこととか、バイトのこととか、夜遊びのこととか、ポキのこととか、色々書きたいことあるから、ゆっくりまた時間のあるときに書きたいな。あ〜〜今すごい戻りたいシアトル!!